メンヘラナルシストの転職活動観察日記

プライド高めナルシストだけど豆腐メンタルですぐメンヘラになる、そんな生き物の観察日記

蛍光色のラウンジ

家に帰ると、会社の寮の狭い部屋がいつも以上に狭く、そして何故か青く感じた。

8階の窓から見える外は、綺麗なオレンジなようで、深い青のようで、

夕方だったかもしれないし、夜だったかもしれない。

 

パイプベッドを見てみると、少し横に揺れている。

「あー、また地震か」って感じ。

大学から神奈川に上京して以来、もう慣れたもんで、
少し揺れは大きいけど、普通に過ごしていた。

 

しかし、予想以上に、というか、異常に長い。

 

あれ、こんな揺れるんだっけ?

 

なんだか、ギリギリと下の方で嫌な音が聞こえる。

大きなノコギリで建物を切断しているような音。

 

流石に外に避難しなきゃ、と動き出したのと同時に、

窓の景色がゆっくり右に傾いていった。

 

え、建物倒れている?そんな大きい地震だっけ?

 

 

意外にも心は冷静なもんで、

 

「外に出るの間に合わないなこれ」

 

「ベッドの横の隙間なら凌げるかな」

 

「というか8階の建物だから流石に死ぬかな」

 

なんて思いながら、隙間にうまい具合に縮こまって、

もう床だか壁だか分からないとこに身をぴったりと寄せると、

ふわっと重力がなくなった。

 

「ここで死ななかったらニュースに載るかな」

 

「なんとなく死なない気がする」

 

大きな音と、意外に大きくない衝撃と一緒に、

部屋の上下が2〜3回ぐるんっと回る。

 

んで、気を失わずに、耐えしのげた。揺れが収まった。

奇跡的に、部屋の上下は変わっていない、物も少ない部屋なので、散らかりもしなかった。

窓からは今までとは少し低い景色が見えている。

 

そんなバカな、って思いながらも共用ラウンジへ。

 

部屋の外に出ると、共用ラウンジに何人か同世代の男たちが蛍光色のソファでテレビを見ている。

寮だとままあるような、知っているような知らないような、話したことあるかもしれないような、

不思議な関係のあれだ。

いつも(?)のように「おう」と声をかける。

 

ひとりの短髪の男が他人事のように

「建物は4階から上が折れたけど、奇跡的に一回転してさ、何もないんだとw」

「他は壊滅的らしいぜ〜」

 

ラウンジの窓から外を見てみると、

もう真っ暗で、煙が上がっていたかもしれないし、

夕方で、普通に、何事もないように人が往来していたかもしれない。

どちらにせよ「ふーん」と他人事のように眺めていた。

 

特にすることもないので、興味もないテレビを一緒に見ていた。

まだ地震の話はないらしく、よくあるバラエティが流れてた。

興味がないので、頭にも入ってこない。

 

すると、エレベーターが開く音がして、何人かの男女がラウンジに駆け込んできた。

その中に、大学時代のサークルの女友達、IとUもいた。

 

Iは見た目がギャルっぽくてバカっぽい。声も高くてキンキンうるさい。

でも、やたらと気があうし、お互い酒が好きなこともあり、大学卒業後も何度か飲んでた。

顔は可愛くないが、変な魅力もあって、酔って家に泊まりにきた時は、

セックスを持ちかたりもした(そして断られた)。

 

Uは大学生あるあるって感じで、見た目天然の隠れビッチ。

なんか酔った勢いで会ってすぐにやっちゃった。

その後、俺の友達と付き合っちゃうあたりまで、大学生あるある。

卒業直前までお互い気まずくて変な距離感になってた。

 

 

こういう友達って不思議と久々な気はしなくて、

I曰く、「この建物ぐらいしか周りで影響がない為、避難してきた」とのこと。

 

寮の部屋も余裕があるし、まぁいいんじゃないか、と思って。

特にそこは気にせず、てきとうに最近の近況とか話していた。

そこもあまり覚えていない。

 

気がつくと多目的ホールから、EDMが聞こえてくる。

だれか音楽流してクラブのように踊っているぽい。

 

周りの何人かは面白がって見にいくようだ、

隠れビッチUに手を引かれ、俺もいくことに。あれ、こんな積極的だったったけこいつ。

 

普段は卓球とかできるスペースなんだけど、

卓球台を片して、20畳くらいのフラットなスペースで照明は少し暗めにして、

誰かのスピーカーでEDM流していた。

 

既に4カップルくらい踊っていて、

ただ、災害(?)直後のパニックを見て見ないふりする為にも踊っているようで、

異様な、フワフワしたような、現実逃避感がそこにはあった。

 

Uに手を引かれ、輪の中へ。踊りながら頬ずりしてくる、U。

「またこいつ久々にやれるかもな」という下心と

「まぁ、大きな災害の後だしパニクっているのかもな」という冷静さもあり。

 

周りもやっぱりそんな雰囲気に気付いていて、

Iと何人かの男はニヤニヤしながらこっちを見ている。

こちらも見せつけるように、ヒートアップし、気が付けばディープキス。

更にはUが押し倒してきた!

 

「ここで始める気なのか?」

「でもまぁ、この不思議な雰囲気ならいいかもな」なんて思いながら、薄々気付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは夢だ。

 

 

 

 

 

 

 

今住んでいる会社の寮は3階だ。8階じゃない。

正確には借り上げなので、共用ラウンジなんてない、大学時代の寮にはあったが。

パイプベッドを使っていたのも大学時代、

部屋の内装もサイズも窓から見える景色も、大学時代のものだった。

 

そもそも8階の建物の4階より上が折れて、崩れ落ちて、一回転して、何事もなく着地して、

中の人が無傷なんてツッコミどころが多すぎる。

テレビを見ていたが、建物ぶった切られていたのに、配線はどうなっていやがる。

そしてUとI、どうやって崩れた建物にエレベーターで入ってきたんだ。

 

しかし夢というのは支離滅裂が常なのである。

そしてその支離滅裂を何故か受け入れるのも常なのである。

 

そしてこういう、「夢の中で夢だと気付く」というのは明晰夢というのだろうか。

たまになることがある。

 

明晰夢だと気付くと眼が覚めるまで、自分のイメージしたことが体験できるので、

1割は空を飛んだり、残りの9割はエロ方向に夢を持っていていた。

 

今回もUとの熱いベロチューを感触まで楽しんでいた。

 

 

 

なぜか最後まで至らず、気が付けばまた蛍光色のラウンジでTVを見ている。

 

何でも他の男も、UもIも「これは夢だ」ということに気付いているらしい。

 

TVの右下に、青いテロップが流れる。

 

人の名前と時間などが書かれている。

 

「あいつら夢から醒めたんだなー」とある男が言う。

この『夢』から醒めた人は、夢の世界のニュースで共有されるらしい。

夢って共有されているものだっけ。

 

「勿体ないよな、仕事もしないでメシも困らないし、好きなことができるのに」と、

どこからか出てきたピザを食べながら別の男が言う。

 

広い家ではないが、不便さは感じていなかった。

大学生の夏休みのように、皆がダラダラ、

悩みのない自由な時間、それが無限に続くように思えるこの感覚は、

社会人となった今、老後になるまでは得られないだろう。

 

GW中も結局仕事のことが頭をよぎる、

(会社に無理やり取らされる)有休中も、上司や客からのメールがくる、

出社して仕事ができない分、余計にたちが悪く、休日中が一番ストレスが溜まる。

 

 「確かにもう少しここにいてもいいかもしれない」と思っていると、

エレベーターから新たな客人たちが現れた。

 

また4〜5人くらいだろうか、少しオラオラしているような集団だった。マイルドヤンキー的な。

既に部屋にいた男と知り合いらしく、特に挨拶もせずズカズカと入ってきて、俺の横を横切った。

 

ビビりな俺は彼らを見ながら、

「こいつらと仲良くできるのだろうか」という不安と

「折角の安住の場所が、占拠されてしまうのでは」という縄張り意識と怒りをもっていた。

 

すると、一人が多目的ホールから聞こえてきたEDMに合わせて軽くリズムを取り、

簡単なブレイクダンスを踊り出した。

 

過去にブレイクダンスを(ものすごく下手だったが)やっていた為、

久しぶりに踊る仲間ができそうだと思い、

「何年くらいやってた?」と声をかけてみた。

これは仲良くなれそうだ。

 

基本的にこの夢は、この蛍光色のラウンジが舞台らしい。

 

見ているようで見ていないTVを横目に、

聞いているんだか聞いていなんだか分からない感じで皆で雑談をしていた。

いや、雑談というには中身がなさすぎる、声を発しているだけかもしれない。

 

ただ、

 

夢から覚めるなんてないよなー、一生このままでいいや、

 

というのは全員共通のようだ。

誰もが、現実世界に戻りたくないようだった。

 

 

誰も外に出ないし、きっと、この壊れた寮がその『共用の夢』の全世界なんだろう。

もっと言えば、この蛍光色のラウンジが全世界なのかもしれない。

 

エレベーターで上がって来る人たちは、
この共通の夢に来た人、逃げて来た人かもしれない。

 

ただなんとなく「そろそろ戻りたいな」とふと思った。

特に理由はない、

飽きたわけでもない、

この夢が嫌になったわけでもない、

むしろこんな時間が続けばとさえ思った。

 

でもなぜかこのラウンジを出ようと思った。

 

靄がかかったようで具体的に思い出せないが、

現実世界はひどくストレスフルだ、

イヤが9割、もっとイヤが1割、そういった感じだ。

 

でもなぜか、その刺激がほしい気がして来た。

このラウンジは、ストレスも、嫌な上司もいない。リラックスが充満している。

同時に、刺激は得られない。

 

ラウンジにいても、結局現実は何も変わらない。

まぁ、目が覚めなかったとしても、そのまま死ななかったとしても、

なんとなく、あの刺激が愛おしい気がしてきた。

 

そう思うと不思議なことに、ラウンジから抜け出せないのだ。

明晰夢って不思議なことに、夢の中は自由にできても、夢から自由に醒められる訳ではない。

 

ゾンビに追いかけられ、体を食われている夢の時も、

「起きろ!」「起きろ!」と何度も思って、ようやく目が覚めた程度だ。

 

ということでラウンジで皆でテレビを見ながらも心の中では

「そろそろ起きたい」

「現実に戻りたい」と何度も唱えた。

何度も唱えた。

 

強くも唱えた。

 

なかなか起きれないな、どうし

 

 

 

 

気がつくと自室のベッドの上だった。

 

 

 

 

あぁそうだ昼寝していたんだ。

 

外はまだ明るいな。

 

今日は有休取得日(どうせ仕事は山のように溜まっているのだろうが)。

平日。

枕元にはマンガのページを開いたままのスマホがあった。

 

 

先日飲んで、今朝は早くから、切れた免許の更新で遠出してて、眠かった。

家に帰って、仕事をしよう、その前に少しマンガを読もうとベッドに入り、

気がついたら寝ていたようだ。

 

 

スマホの画面も読んだ覚えのないページを開いている。

うつらうつらと読んでいたのだろう。

 

不思議なことに気がついた。

 

希死念慮が消えていたのだ。

 

今まで、仕事中もプライベート中も、ふと思い出すことがある。

「あの案件をやっていない」

「あのお客さんは怒っているのだろう」

「なぜあの時に、対応していなかったのだろう」

現在進行形も、過去のミスも、ふとフラッシュバックし、

それまで思考していたことが一旦完全ストップし、

その負の感情に飲み込まれ、しばらく自分を責め続けるのだ。

 

その度に「死にたい」と思っていた。

 

土曜日の夜には「あと1日で月曜だ」と死にたくなり、

出勤前なんかは当然のように死にたくなり、

上司とうまくいっていない時は、毎朝頭の中で自殺を繰り返していた。

刃物で刺し、銃を咥え、ベランダから飛び降りた。

 

風呂に入りながら叫ぶ時も、

半泣きでベッドをボフボフ殴っている時もあった。

 

上司が変わってから少しマシにはなったものの、仕事への不適性さ等から、

最近またストレスが溜まっていた。

 

今日も免許の更新に行く途中の高架線を見ながら、本当に身を乗り出そうか考えた。

家に帰って仕事に取り掛かろうとした時にまた例のフラッシュバックが出て、

「4階からでも頭から落ちたら死ねるのでは」と思った。

この時、今までのような衝動的な「死にたい」ではなく、

冷静に「死のうかな」と思った。

 

恐らく、今までの妄想自殺の中で、一番本気で死のうと思っていたのかもしれない。

 

ただ、目が覚めるとそんなこともなくなっていた。

キレイさっぱりないのだ。

 

今までも、例えば、好きな歌を聴くことで、友人と酒を飲むことで、

ある程度、希死念慮がなくなったことはあった。

 

しかし、なんかこう、キレイさっぱりなくなったのだ。

「現実世界に戻りたい」

「あの刺激がほしい」と思ったからなのだろうか。

 

きっと、

明日出勤して、仕事の山を見たらまた鬱になるかもしれない、

クレームを聞き、謝罪をしながら希死念慮が出るかもしれない、

先延ばししている仕事を見て、過去の自分を責めるかもしれない。

 

そもそも昼だから、時間の余裕もあってのことで、

夜、翌日の仕事を考えるとまた嫌になるかもしれない。

(実際、この文章を書いていると外が真っ暗になってきたが、気持ちは沈んで来た)

 

でもなんか、「この気持ちいいな」と思えた。

 

話は戻ってベッドの上。

 

目覚めの癖でスマホに手を伸ばす。

読みかけのマンガの続きを読もうとする。

 

そこでスマホを裏返しに置き、画面を見ないようにした。

スマホ依存症としてはありえない動きだ。

 

こう思った。

 

スマホを見始めたら、きっとこの夢の感覚を忘れてしまう。

 

実際、起きた直後ははっきりと覚えていた内容が、情景が、

早速抜け落ちていくのを感じていた。

 

忘れない為に反芻しようと、頭の中で何度かストーリーを繰り返した。

 

文字にもしようと思った。

 

2年前くらいサイトだけ作ったブログに書き込もうと決めた。

きっと、また三日坊主になるのだろう。

きっと、見返すと「なんだこの中二病メンヘラ満載の文章は」と自嘲するのだろう。

黒歴史になるのだろう。

 

それでも、今この感情を大事にしたいと思い、

勘で入力したパスワードで偶然ログインできたので、

このページにただ思ったこと、見たことを、

誰に読んでもらう為でもなく、いや、誰かには読んで欲しいんだが、

ただ気持ちの向くままに書いている。

 

状況を好転させる為に、目下転職中ではあるが、

変な責任感から、今年度は現職を続けようと思っている。

 

ただ、希死念慮は付きまとっている。

 

今日は、それが少しマシになった気がしたので、文章にしてみた。

 

そうそう、ベッドでの夢の反芻を終え、ある程度頭に定着した辺りに、

スマホTwitterを見てみた。

 

Iが「本当にこの会社イヤだ、マジで辞めたい」と呟いていた。

 

もしかしたら蛍光色のラウンジは、どこかにあるのかもしれない。